日本住宅公団戸頭団地
茨城県取手市戸頭 公団賃貸・分譲併存 昭和50年入居開始
常磐線(国電)の終点取手駅から1〜2両編成の気動車がのんびり走る関東鉄道常総線に乗り換え、12分ほど乗車すると戸頭駅に到着します。この駅は団地建設に伴い新設された駅で、戸頭団地はこの駅前に建設されました。戸頭団地が建設された昭和50年代といえば、地価高騰により公団の用地買収が困難を極めていた時期で、都心から1時間以上かかる郊外へ次々と団地が建設されていきました。住宅不足がひと段落した時期であったことも相まって、郊外の団地で大量の未入居住戸が発生し、公団は未曾有の批判(高い・遠い・狭いで「高遠狭批判」と呼ばれた)にさらされることとなります。この戸頭団地も例に漏れず空家大量発生で有名になってしまった団地で、緊急対策として2戸1改造や「離れ」の増設などが行われました。
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賃貸約1200戸、分譲約700戸の中規模の団地で、周囲には戸建て分譲地が広がっています。駅前のショッピングセンター周辺が高層棟で、その他は中層棟になっています。
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戸頭駅にディーゼルカーが入線してきました。偶然にもUR都市機構ラッピングが施された車両でした。後ろに見える建物は、戸頭団地の高層棟です。
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新設の戸頭駅
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駅前の国道はアンダーパスになっていて、すぐに団地が始まります。
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郊外立地の団地ですが、駅前とあってそれなりの人通りがあります。
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2013年より地元にキャンパスを有する東京藝術大学を中心としたアーティストたちの活動「取手アートプロジェクト」と協働して、団地の壁面が楽しげなデザインになりました。団地の雰囲気がぐっと明るくなりました。
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駅前から中層エリアに向かう通り沿いには連続的に遊具が配置されていました。駅前から計画的に作った団地なので、動線が明快です。
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民間の建物と公団テナントが向かい合っています。
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「高遠狭批判」の代表格の一つとして有名になってしまった団地ですが、それはさておき団地の設計としてはとても良くできていて、平坦な土地かつ駅前なのにもかかわらず車を全く気にせず各住棟にたどり着ける導線は特筆すべきものだと思います。
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サッカーボールがのっかってる演出、素敵ですね。
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物語性を感じる住棟壁画
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いいですね。
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エッジが強調されたデザイン性の高いスキップフロア型です。
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大きい建物ですが、空きテナントになっていました。
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中層エリアに足を進めましょう。団地の背骨にあたる歩行者路は、美しい並木道です。
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住棟番号はタイルでは無くステンレス製(?)です。
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分譲エリアにオリジナルデザインと思しき案内板を発見。
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昭和50年代の団地は、細部が凝ってるんですよね。階段室の入り口とかベランダの角が丸っこいんです。
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昭和50年は、階段室型の団地の基本的フォーマットを崩さず、細かいところにオシャレ感を出して行った時代です。この団地が完成した2年後の昭和52年に団地の「標準設計」が廃止になりました。
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自転車置き場もかなり凝ったデザインです。
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この団地も緑がもこもこで美しいです。
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集会所のデザインも尖ってていいですね。
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歩行者専用道路。
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途中交差する道路もアンダーパス。
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この棟は、かなり変わったエントランス。
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プレイロット
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このあたりだけちょっと北海道の団地っぽい雰囲気。
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「かっぱ屋根」が設置されている住棟もありました。
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小豆色の住棟
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1階が専用庭になっている住棟です。空き家大量発生により、なんとかひと工夫をということで設置されました。
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よく見ると階段室連結型の住棟が。
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こちらは、凄まじい改造を施された住棟になります。近づいてみましょう。
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なんとびっくり!1階に「離れ」が増設された住棟です。未入居住戸解消のため、目玉商品として考案されました。離れには風呂もトイレも台所も揃っていました。2世帯住宅のような使い方を想定しているようです。
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離れと本宅の間には渡り廊下が設置されています。
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離れは丈夫なRC造
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いくつかの棟では、左右をくっつけた2戸1改造が行われていました。よく見ると5階だけは改造されていないですね。未入居住戸だけ改造したんでしょうか。
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未曾有の高遠狭批判の原因は、単純に団地の立地が悪いということではなく、地域の特性を無視した広さの住戸を大量供給してしまったことが原因と言われています。未改造住戸は、およそ60平米に満たない広さとなっており、この地域の一般的な需要とかけ離れていたということなのでしょう。
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じゃぶじゃぶ池も綺麗に管理されていました。
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タイル張りが美しい管理事務所
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団地が完成した当時は、周りに何もなかったようですが、今ではすっかり市街化されました。つくばエクスプレスの開通で、昔より都心がちょっと近くなっています。URのストック再生方針では、集約化(戸数減)すべき団地とされているようですので、今後の動向を見守っていきたいと思います。
(c) 2005 Terui Keita