公団ウォーカー

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 団地について日々考えることをSNSでつぶやいていましたが、日数が経つと消えてしまうため、ここにブログ形式で残していくこととしました。


アイコン2023/5/25 「団地は騒がしいです」って言い切ると一石三鳥という話

ひまわり公園 くるくる公園
 団地の募集窓口で、嘘でもいいから「団地は騒がしいです!」と言い切ると一石三鳥です。

(1)「うち夜泣きする赤ちゃん居るけど団地でも大丈夫?」と不安に感じている子育て世帯が申込みしやすくなる

子育て世代にとって、団地には「騒音に対する不安」というのがあります。噛み砕いて言うと「古い団地の中で、自分の子が泣いたり騒いだりして、近隣からクレームが来ちゃうんじゃないか」っていう不安です。それが不安で、UR団地を検討対象から外しちゃう子育て世代が本当に多いんです。団地を若返らせるためには、子育て世代が安心して申し込めるようにできた方が絶対に良いです。

(2)万が一、実際うるさくても『まあ言われたとおりだし、しょうがないか』となるのでクレームが激減する。

URに騒音クレーム入れる人って、意外と新規入居者が多いみたいなんです。例えば「テレワークにおすすめと言われて入居したけど、意外と子どもの声が気になる。こんなはずでは〜(泣)」というパターンです。こんな不幸なミスマッチを防ぐためにも、団地は騒がしいと思ってもらった方が良いです。ちなみに古くから住んでいる人は「昭和の方がよっぽど騒がしかったわ」と思ってるので、案外寛容なんですよ。

(3)祭りやイベントがやりやすくなる

昨今の日本の都市では、焚き火とかコンサートみたいな変わったイベントをやろうとすると「クレームが来るんじゃないか」と主催者側はおっかなビックリです。でも「団地は賑やかな場所」と事前に説明されていると分かっていれば、そこまで臆病にならずに済みます。

どういう人に団地に来てほしいか考えよう!

「URはコミュニティづくりに力を入れています!」ってURが宣伝するようになってから、実際に地域活動に参加する現役世代が増えたそうです。ちなみに、神代団地は「クリエイティブ系の人が多いよ!」って言っていたら、更に増えてきました。みんな近しい属性の人と集まりたいんです。例えば漫画家多い街にはますます漫画家が集まるし、若者の町には若者が集まる。言えば言うほど集まる。 川口市が多国籍なのもそう。流山市に子育て世代が集まってるのもそうです。団地再生には「団地も賑やかで楽しい場所!」と言い続けることがすごく大事です。いかがでしょうか?みなさんも考えてみましょう!VIVA団地!

アイコン2023/5/16ゆあ〜メイトは団地のコンシェルジュでしょう

UR賃貸住宅区の管理体制図
 一定規模以上のUR団地管理事務所には、窓口職員が配置されています。その名も、ゆあ〜メイト!!国鉄民営化時の「E電」並みに広まっていない呼び方ですが、団地住民にとっては欠かせない存在!あそこが壊れた、ここが困ったなど団地に関する悩みを解決してくれたり、集会所の予約や入居時の鍵の受け渡しなどなど、大変心強い窓口職員です。クリーニングや宅配便の取り継ぎはしてくれませんが、団地に関する相談は、分譲マンションの管理会社よりずっと親身に相談に乗ってくれます。

恥ずかしがらずに「団地のコンシェルジュ」と名乗りましょう!

 URさんは恥ずかしがり屋なので「この街に澄まう」とか「誇り高き至高の邸」とかフカした言い方などしない非常に真面目な大家さんですが、管理事務所の方(ゆあ〜メイトとか管理主任)については、自信を持って「団地のコンシェルジュ」って名乗った方がいいと思います。
「コンシェルジュなんて名乗っちゃうと過剰な期待をされちゃうんじゃない?!」と心配されるかもしれませんが、私は逆だと思います。鳩がうるさいとか落ち葉が鬱陶しいとか、まことにくだらない苦情を「管理事務所のおばちゃん」や「管理主任のおっちゃん」には気楽に言う気になるけど、「コンシェルジュ」に対してだと何となく言い方を気をつけたくなる気がしませんか? 仮にくだらない苦情が来ても、上品に「かしこまりました。コンシェルジュが責任を持って、担当部署にお取り継ぎいたします。」と言われたら、怒る気も失せるでしょう(笑) 管理事務所のカウンターをちょっと上品な雰囲気にすると、なお効果が高いかもしれませんね。
 半分冗談で半分本気な話でした。みなさんも考えてみましょう!VIVA団地!
※ちなみにフランス語で「コンシェルジュ」は、本来は単なる「アパートの管理人」という意味しかなく、ホテルっぽいイメージはそこから派生した用法らしいですよ。ほら。恥ずかしがることはありません。それに比べてマンション(本来は大邸宅という意味)の方がめっちゃ恥ずかしい!

アイコン2023/5/15エレベーター無し団地って実はイイよねっていう話。

中層エレベーター増設棟
 ご存知の通り多くの中層団地にはエレベーターが設置されていませんが、これは団地の「弱み」なのでしょうか?一見「弱み」に見えることは、裏側から見て「強み」にしなければなりません。

エレベーター未設置の階段室型ならではの強み

 団地も築60年に近づき始めると、第1期入居組の高齢世帯が退去を始め、世代交代が始まります。一部の高齢者は階下移転斡旋制度を使って、1階に転居していますし、高齢のご新規さんも1階は大変人気です。一方で、高齢者は5階なんかに絶対申し込みません。エレベーター未設置団地では、事実上、健脚であることが4・5階に住める条件となっていて、上層階には自ずと若い世代が入居してきます。1階に高齢者、2・3階に子育てファミリー、4・5階に若者。おやおや。これって、みんなが目指している「多世代」な社会ではないでしょうか。エレベーター未設置という物理的制約が強制的に多世代型団地を生み出していると考えたら、エレベーターを付けない!という考えもアリな気がしてきませんか。
 団地のコミュニティの基礎は、階段室単位です。階段室は下町の路地みたいなもんだったりします。実は今、上層階の若い世帯が、階下の高齢世帯を見守るという階段室単位の「共助」が花咲きつつあるんです。実際、前まで住んでいた棟では、上層階ファミリーの元気な小学生が高齢世帯のゴミ出しを手伝っていました。逆にもし下手にエレベーターを設置して、たまたまその階段が「高齢世帯だけ」になってしまったら、共助は機能しないでしょう。うちの団地でもエレベーターを増設した棟でそのようになっている場所があると聞いています。エレベーターって、結構副作用あると思うんです。

団地の未来につながることに投資しましょ

 URの築古団地で大多数を占める5階建ての階段室型は、踊り場着床型のエレベーター1基設置に数百万のコストがかかります。3・5階の踊り場に着床しますから、使うのはせいぜい3・4・5階の6世帯で、コスパ的にどうなのって感じ。設置効率は非常に良くないのです。しかも維持管理費は共益費に直接跳ね返り、若者が入りにくくなってしまいます。限られたお金は、未来につながることに投資したいですよね!5階を思いっきり若者向けに改造したり、2〜4階を子育て世帯が喜ぶ仕様にしたり、1階に見守り機能を持たせたり。なんかエレベーター未設置階段室型って可能性にあふれていると思いませんか。 みなさんも考えてみましょう!VIVA団地!
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