公団ウォーカー

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 団地について日々考えることをSNSでつぶやいていましたが、日数が経つと消えてしまうため、ここにブログ形式で残していくこととしました。


アイコン2024/01/09エレベーター無し団地って実はイイよねっていう話その2

子供が階段室を降りるところ 階段室型団地
(2023/5/15の投稿の続きです)
10年後を予言します。2034年にはエレベーター無しの団地が再評価されていることでしょう。電気を使わずエコだとか維持費がかからず共益費が安いとか、そういった価値が認知されてくるでしょう。今では信じてもらえないと思いますが、ここ20年で団地に向けられる評価の変遷を見ると全然あり得る話です。

 20年前「孤独」がさほど社会問題になっておらず、近所付き合いというものは煩わしく避けるべきものとすら思われていた時代を覚えています。団地コミュニティという言葉が悪い意味で取られていたことも。それが今では団地コミュニティ素晴らしいよねって普通に言われてて自分でも信じられないのです。

 ヨーロッパではCO2を大量に排出する航空利用が避けられエコな寝台列車が復権してきたりしています。一昔前では考えられなかった発想です。同じような転換がエレベーターで起きると思っています。URや分譲団地の所有者は「EV未設置はエコ」「コスパ良好」とマイナスをプラスにする宣伝をしましょう。

アイコン2023/8/29 団地の盆踊り大会が持つ力

神代団地納涼盆踊り大会2023 神代団地納涼盆踊り大会2023
 2023年8月19日と20日、神代団地で納涼盆踊りが開催されました。会場は両日とも団地内外から多くの来場者で賑わい、大成功のうちに幕を閉じました。盆踊りを運営して感じたこと、考えたことについて記していきます。

団地の盆踊りの役割

 団地の盆踊り大会は、わいわい楽しむこと以外にも様々な役割を持っています。  主催者である自治会には「今年はいつ盆踊りをやるのか」という問い合わせが何件も寄せられていました。いつも空いている来客駐車場も盆踊りの日だけは満車でした。これだけ楽しみにしていただいているのです。盆踊り大会は、これからも続けていく価値があると確信しています。

盆踊りが与えてくれる居場所

夏のイベントといえば色々なものがあります。もしあなたが「団地」で何らかのイベントを企画する立場にいたのならば、私はぜひ「盆踊り」をおすすめしたいです。盆踊りは誰もが輪の中に入ることができます。盆踊りは大人から子どもまで全員に居場所を与えてくれるのです。神代団地の盆踊り会場でも「隣町の商店街祭りと比べて居心地が良い」という感想が聞こえてきました。よさこいや阿波踊りのように演舞中心の祭りは、見ている側はあくまでも見物客ですから、輪に入るというのは難しいでしょう。また、最近流行りのマルシェやキッチンカー中心のお祭りというのも、お金を持っていない人(特に小中学生)が参加できないという弱点があります。他のイベントと比べて盆踊りは、誰にでも開かれた優しいイベントなんです。

団地の建て替えと盆踊り

団地が建て替えられて、盆踊りをやらなくなってしまった団地がいくつもあります。担い手不足や場所の問題など理由は様々ですが、建て替えが行われた団地こそ盆踊りをやるべきではないかと思います。 松原団地のコミュニティについて研究をしている獨協大学の岡村圭子先生が、著書「団地へのまなざし」で指摘しているとおり、団地建替後は従前の団地が形作ってきたコミュニティがバラバラになりがちです。そんな時こそ、団地を去った人々が戻ってきたり同窓会のような場となる盆踊り大会をやるべきではないでしょうか。団地再生対象団地でURの支援を受けてイベントが各地で行われていますが、ぜひ盆踊りも企画してほしいです。

アイコン2023/8/15 団地の子どもたちに私たちが出来ること

水遊び・スイカ割りイベント 水遊び・スイカ割りイベント 水遊び・スイカ割りイベント 水遊び・スイカ割りイベント
 2023年7月15日に神代団地初の試みとして「水遊び・すいか割り大会」を開催しました。この企画は神代団地初となる試みで、私が自治会役員として発案したものになります。私には「子どもが大人に怒られず、水風船や水鉄砲で思いっきり水遊びできる場所を作ってあげたい」という思いがありました。ところが神代団地には肝心のじゃぶじゃぶ池がありません。思案した結果「池が無ければビニールプールで作ってしまえば良いんだ!」という発想に思い至りました。
 企画当日は想像を遥かに超える人が集まり、子どもだけでも延べ100人以上、親も合わせれば200名弱の方々が遊びにきてくれました。子どもたちに大変喜んでもらえましたし、これだけの数の子どもが団地に住んでいるということを内外に示せたのも大きな収穫でした。さらにもう一つの収穫は、お金をかけなくても多くの人を楽しませることができることを証明できたことでした。なにしろ今回購入したのは、百均の水風船と水鉄砲数点とAmazonで買った格安プール(約三千円)、団地商店街のふじ青果さんに安くしてもらったスイカ2玉だけで、水道代を考えても一万円以内の予算でおさまっています。私たち運営サイドも準備を含め大変楽しくやらせていただき、来年もまたやろうということになりました。私の思いに付いてきてきてくださった自治会の仲間には大変感謝しています。今の時代、このような試みができる空間と小回りのきく住民組織を合わせ持つのは「団地」だけかもしれません。団地なら、たった1枚のビニールプールと百均のおもちゃで子どもたちをたくさん楽しませることができるのです。他の団地のみなさまもぜひ挑戦してみてください。

アイコン2023/7/12 私から公へゆるやかに遷移する団地という空間

神代団地の夕暮れ 神代団地の4号棟前
 団地特有の居心地の良さの理由の一つに「公と私の関係性のゆるやかさ」があると思います。団地の場合、出かける時に
(1)自宅→(2)階段室→(3)団地敷地→(4)敷地外・道路といった具合に、プライベートな空間からパブリックな空間までゆるやかに遷移していきます。一方、戸建住宅の場合
(1)自宅→(2)道路!と一瞬で公の空間に出されるので、慣れてない私にはヒートショック的な感覚があります。団地特有の居心地は自宅の領域感の差にあるのかもしれません。この感覚は、団地に住んでいる半分くらいの方は「分かる〜」って思ってくれるのではないかと思います。
団地の屋外空間は「公と私の狭間」だから、おっちゃんが半裸でトレーニングしてたり、エプロンしたままのおばさまが井戸端会議してたり、ベンチでワイン飲んでる夫婦がいたり、未就学児が親抜きで遊んでたりといったような、戸建て住宅地では見られない人々の営みが見られます。これぞ団地文化であり財産だと思います。昭和の団地が残してくれたこの空間をこれからも守っていきたいし、「空間の自由度」もずっとずっと守っていきたいものです。団地が建替えとなると、曖昧だった建物と通路の境界がハッキリしたり、公園部分が行政に移管され「公」の性質が非常に強くなったりして、団地の持ち味が失われてしまうケースがあります。今後の団地再生にあたっては、団地だけが持つ持ち味を理解した上で進めていきたいものですね!

アイコン2023/7/11 いらない襖をお返しシステム

団地のふすま
 URの古い団地に入居している人はみんな思っていることだと思うのですが、使ってない襖の保管って大変ですよね。提案なのですが、入居する時に必要ない襖を予め返却できるシステムがあったらいいと思いませんか?私の知る限り、若い世代のほとんどがダイニングキッチンと居間の間の襖を取り払っています。私の家では和室とDKの襖7枚・欄間4枚の計11枚が不用なので、物置にしまってあります。正直言ってかなり邪魔なのですが、うっかり捨ててしまうと退去時に「紛失」扱いとなり、1枚あたり1万円以上弁償になるため捨てるに捨てられないのです。もし未使用の襖をURに返却できれば廃棄物も減り、エコだと思います!妙案だと思うので、是非ご検討をお願いします!

アイコン2023/7/10 堂々と団地を名乗りましょう!

神代団地宣伝用看板
 「ダンチ族」の時代が去ると、平成の終わり頃まで「団地」という言葉はどちらかといえばネガティブなイメージをまとっていました。ところが近年は、すっかり「団地」がブランドとして復権し、まちづくりのキーマン達が団地に集まり始めています。民間リノベ物件では、座間のホシノタニ団地や草加のハラッパ団地など「団地」を売りにしているものも増えてきました。しかし、URや都公社の団地では未だ募集サイトや現地看板などに「○○団地」と表記せず「○○」とだけ表記する伝統的ルールが続いています。神代団地も募集サイト上では「神代」とだけ表示されます。検索する人は9割方「神代団地」で検索していると思うのです。団地をブランドとして育てていくためにも、早く「団地」を付けた表記で統一していって欲しいなあと思っています。
 あともう一点、大切なことがあります。埼玉県内のとある団地を一部建て替えた際、新しい棟にカタカナ名称を付けました。このケースのように一部建替の際に新築棟だけ別名称にするのは大変勿体無いのです。せっかく新旧建物と新旧住民が混ざり合って理想的な多世代コミュニティができるかもしれないのに、名前で分断してしまうとコミュニティも分断してしまうかもしれません。「団地の未来プロジェクト」で有名な洋光台北団地では、新築棟も同じくズバリ「洋光台北団地」で募集していました。こちらは住棟番号の連続性やデザインも継承されていて、理想的な多世代コミュニティが形成されそうです。

アイコン2023/5/25 「団地は騒がしいです」って言い切ると一石三鳥という話

ひまわり公園 くるくる公園
 団地の募集窓口で、嘘でもいいから「団地は騒がしいです!」と言い切ると一石三鳥です。

(1)「うち夜泣きする赤ちゃん居るけど団地でも大丈夫?」と不安に感じている子育て世帯が申込みしやすくなる

子育て世代にとって、団地には「騒音に対する不安」というのがあります。噛み砕いて言うと「古い団地の中で、自分の子が泣いたり騒いだりして、近隣からクレームが来ちゃうんじゃないか」っていう不安です。それが不安で、UR団地を検討対象から外しちゃう子育て世代が本当に多いんです。団地を若返らせるためには、子育て世代が安心して申し込めるようにできた方が絶対に良いです。

(2)万が一、実際うるさくても『まあ言われたとおりだし、しょうがないか』となるのでクレームが激減する。

URに騒音クレーム入れる人って、意外と新規入居者が多いみたいなんです。例えば「テレワークにおすすめと言われて入居したけど、意外と子どもの声が気になる。こんなはずでは〜(泣)」というパターンです。こんな不幸なミスマッチを防ぐためにも、団地は騒がしいと思ってもらった方が良いです。ちなみに古くから住んでいる人は「昭和の方がよっぽど騒がしかったわ」と思ってるので、案外寛容なんですよ。

(3)祭りやイベントがやりやすくなる

昨今の日本の都市では、焚き火とかコンサートみたいな変わったイベントをやろうとすると「クレームが来るんじゃないか」と主催者側はおっかなビックリです。でも「団地は賑やかな場所」と事前に説明されていると分かっていれば、そこまで臆病にならずに済みます。

どういう人に団地に来てほしいか考えよう!

「URはコミュニティづくりに力を入れています!」ってURが宣伝するようになってから、実際に地域活動に参加する現役世代が増えたそうです。ちなみに、神代団地は「クリエイティブ系の人が多いよ!」って言っていたら、更に増えてきました。みんな近しい属性の人と集まりたいんです。例えば漫画家多い街にはますます漫画家が集まるし、若者の町には若者が集まる。言えば言うほど集まる。 川口市が多国籍なのもそう。流山市に子育て世代が集まってるのもそうです。団地再生には「団地も賑やかで楽しい場所!」と言い続けることがすごく大事です。いかがでしょうか?みなさんも考えてみましょう!VIVA団地!

アイコン2023/5/16ゆあ〜メイトは団地のコンシェルジュでしょう

UR賃貸住宅区の管理体制図
 一定規模以上のUR団地管理事務所には、窓口職員が配置されています。その名も、ゆあ〜メイト!!国鉄民営化時の「E電」並みに広まっていない呼び方ですが、団地住民にとっては欠かせない存在!あそこが壊れた、ここが困ったなど団地に関する悩みを解決してくれたり、集会所の予約や入居時の鍵の受け渡しなどなど、大変心強い窓口職員です。クリーニングや宅配便の取り継ぎはしてくれませんが、団地に関する相談は、分譲マンションの管理会社よりずっと親身に相談に乗ってくれます。

恥ずかしがらずに「団地のコンシェルジュ」と名乗りましょう!

 URさんは恥ずかしがり屋なので「この街に澄まう」とか「誇り高き至高の邸」とかフカした言い方などしない非常に真面目な大家さんですが、管理事務所の方(ゆあ〜メイトとか管理主任)については、自信を持って「団地のコンシェルジュ」って名乗った方がいいと思います。
「コンシェルジュなんて名乗っちゃうと過剰な期待をされちゃうんじゃない?!」と心配されるかもしれませんが、私は逆だと思います。鳩がうるさいとか落ち葉が鬱陶しいとか、まことにくだらない苦情を「管理事務所のおばちゃん」や「管理主任のおっちゃん」には気楽に言う気になるけど、「コンシェルジュ」に対してだと何となく言い方を気をつけたくなる気がしませんか? 仮にくだらない苦情が来ても、上品に「かしこまりました。コンシェルジュが責任を持って、担当部署にお取り継ぎいたします。」と言われたら、怒る気も失せるでしょう(笑) 管理事務所のカウンターをちょっと上品な雰囲気にすると、なお効果が高いかもしれませんね。
 半分冗談で半分本気な話でした。みなさんも考えてみましょう!VIVA団地!
※ちなみにフランス語で「コンシェルジュ」は、本来は単なる「アパートの管理人」という意味しかなく、ホテルっぽいイメージはそこから派生した用法らしいですよ。ほら。恥ずかしがることはありません。それに比べてマンション(本来は大邸宅という意味)の方がめっちゃ恥ずかしい!

アイコン2023/5/15エレベーター無し団地って実はイイよねっていう話

中層エレベーター増設棟
 ご存知の通り多くの中層団地にはエレベーターが設置されていませんが、これは団地の「弱み」なのでしょうか?一見「弱み」に見えることは、裏側から見て「強み」にしなければなりません。

エレベーター未設置の階段室型ならではの強み

 団地も築60年に近づき始めると、第1期入居組の高齢世帯が退去を始め、世代交代が始まります。一部の高齢者は階下移転斡旋制度を使って、1階に転居していますし、高齢のご新規さんも1階は大変人気です。一方で、高齢者は5階なんかに絶対申し込みません。エレベーター未設置団地では、事実上、健脚であることが4・5階に住める条件となっていて、上層階には自ずと若い世代が入居してきます。1階に高齢者、2・3階に子育てファミリー、4・5階に若者。おやおや。これって、みんなが目指している「多世代」な社会ではないでしょうか。エレベーター未設置という物理的制約が強制的に多世代型団地を生み出していると考えたら、エレベーターを付けない!という考えもアリな気がしてきませんか。
 団地のコミュニティの基礎は、階段室単位です。階段室は下町の路地みたいなもんだったりします。実は今、上層階の若い世帯が、階下の高齢世帯を見守るという階段室単位の「共助」が花咲きつつあるんです。実際、前まで住んでいた棟では、上層階ファミリーの元気な小学生が高齢世帯のゴミ出しを手伝っていました。逆にもし下手にエレベーターを設置して、たまたまその階段が「高齢世帯だけ」になってしまったら、共助は機能しないでしょう。うちの団地でもエレベーターを増設した棟でそのようになっている場所があると聞いています。エレベーターって、結構副作用あると思うんです。

団地の未来につながることに投資しましょ

 URの築古団地で大多数を占める5階建ての階段室型は、踊り場着床型のエレベーター1基設置に数百万のコストがかかります。3・5階の踊り場に着床しますから、使うのはせいぜい3・4・5階の6世帯で、コスパ的にどうなのって感じ。設置効率は非常に良くないのです。しかも維持管理費は共益費に直接跳ね返り、若者が入りにくくなってしまいます。限られたお金は、未来につながることに投資したいですよね!5階を思いっきり若者向けに改造したり、2〜4階を子育て世帯が喜ぶ仕様にしたり、1階に見守り機能を持たせたり。なんかエレベーター未設置階段室型って可能性にあふれていると思いませんか。 みなさんも考えてみましょう!VIVA団地!
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