公団ウォーカー

団地の暮らし

 2009年12月、昭和40年築の緑あふれるUR神代団地で待望の団地生活を始めた私。最初は未知の団地暮らしに対して不安もありましたが、今では快適で楽しい団地ライフを満喫しています。このコーナーでは、団地ファンとしてだけではなく、居住者視点で見る「団地」と、そこでの暮らしぶりをご紹介します。


団地の部屋

 URの築古団地の多くで、リノベーションを行なっています。私が住む神代団地では、昭和40年の内装のまま募集することはなく「リニューアル3」と呼ばれる工事を行なってから募集をしています。したがって、ボロボロの部屋が募集されることはありません。全自動風呂釜やシステムキッチンは標準装備となっており、それなりに満足できる設備は整っていると思います。

リニューアル工事とは

 UR団地のリノベーションにはいくつかグレードがあります。都内でよく見られる、最もグレードが高いリノベーション「リニューアルi」では、大幅な間取り変更が行われたうえでドロップインコンロやエアコンが標準装備されます。郊外の中層団地でよく見られる「リニューアル3」では、和室1部屋が洋室化されます。どちらの場合も、床板・壁紙・畳・システムキッチン・便器・浴槽・浴室床及び壁など全て新品に取り替えられ、ほぼフルリノベーションといって良い状態になります。どのグレードのリノベーションが行われるかは、団地ごとに決められています。神代団地では、令和4年現在全戸リニューアル3施工対象となっています。

before

リニューアル工事1 リニューアル工事2

after

リニューアル工事3 リニューアル工事4
他にも無印良品と共同開発した「MUJI×UR」や、レトロさを残した「暮粋」があります。リニューアル1(建具のグレードアップと間取りの大幅変更)とリニューアル2(建具のグレードアップとDKのLDK化)は最近新規でやらなくなったようです。なお、全ての団地でリノベーションを行なっているわけではなく、低家賃団地を中心に簡易的な修繕のみで募集している部屋もあります。

お部屋探しで意外と知られていない「施工時期」の重要性

リニューアル工事は、いつ行われる?

 リニューアル工事は平成11年から始まりました。リニューアル工事は言い換えれば「設備の総取り替え」です。原則として過去に一度もリニューアルしていない住戸(古い仕様のままの住戸)が空き家になった際に施工されます。
 過去にリニューアル工事を一度でも行なった部屋は、再び総取り替えを行うことはあまりなく、建具(畳やフローリング)の張り替えや老朽化した洗面化粧台の交換など、摩耗が激しい箇所のリフォームが適宜行われます。

平成と令和で全然違う「リニューアル3」

 団地のリノベーション技術も時代と主に大きく進歩し、使われるシステムキッチンや便器といった設備も時代と共に変わっています。同じリニューアル3であっても、平成中期に施工した部屋と令和に施工した部屋では全く設備のグレードが異なることは意外と知られていません。同じリニューアル3同士であれば家賃は一緒なので、令和施工の部屋の方が圧倒的にコストパフォーマンスが高いと言えます。
主な設備 平成仕様 令和仕様
新設給湯管 壁に這わせたうえでカバー被覆 床下に布設(見た目スッキリ)
システムキッチン シンクが中央部の旧式のため食洗機が置きにくい(奥行55cm) シンクが右または左にある一般的なもので食洗機が置きやすい(奥行65cm)
浴室の床 タイルを増し打ち。浴槽下はモルタル剥き出し。 JS製ウレタン防水施工の上にシート張り。浴槽下もウレタンコーティングでツルツル。
便器とタンクの仕様 最近ではほとんど見かけない標準サイズ便器+隅付タンク
(大手メーカー温水便座現行品の多くで蓋が干渉してしまい設置困難)
お馴染みのマンションリフォーム用エロンゲートサイズ便器
(ほぼ全ての温水便座機種の設置が可能)
※分かりやすくするため大雑把に「平成仕様」「令和仕様」と表記しております。実際のところ使用製品の切替は適宜行われており、一律に区切られるものではありません。
リニューアル工事5 リニューアル工事6

リニューアルやりたてホヤホヤの部屋の見つけ方

 インターネット募集サイトに、リノベーション済み表記が付いていない物件が出ることがあります。これは、結構な確率でリノベーション工事の真っ最中だったりします。工事中ゆえ「リノベーション済み」と表記できないだけで、アタリ物件の可能性大です。また、近所に住んでいるのであれば現地にも手がかりがあります。空き部屋を外から眺めて、旧式のプロペラファン換気扇が見えたら確実に未リニューアル部屋です。次の募集前に必ずリニューアル工事を行うので、目星をつけておくと良いでしょう。工事中は階段室に張り紙がされますが、リニューアル工事の場合「住戸改修工事のお知らせ」と書いてありますので、狙い目です。リニューアル済部屋の修繕の場合「住戸修繕工事のお知らせ」が貼ってあります。

愛おしいレトロなディティール

 昭和40年に建設された神代団地には、まだまだレトロなディティールが残っています。剥き出しの排水縦管のインダストリアル感は、新築の団地には見られない魅力です。部屋によってレトロな磨りガラスも残っています。
DIYの様子 DIYの様子

DIYを楽しみましょう

 せっかくのお部屋だからDIYを楽しみましょう。私は子供部屋の押し入れを机に改造しました。最近はテープLEDライトやラブリコなどDIYに便利なグッズがたくさん発売されています。youtubeでも団地DIYを楽しんでいる人の動画がたくさんあり、とても参考になります。
DIYの様子

まもなく解決される洗濯機排水問題

 神代団地で、洗濯機置き場に防水パンが設置され直接排水可能なのは1階住戸と増築棟のみです。他の住戸は、洗濯機をコンクリートブロック等の土台で嵩上げし、ホースを浴室まで伸ばして排水していました。浴室のすぐ脇に洗濯機置き場がある住戸は問題ないのですが、洗濯機置き場と浴室の間に廊下がある3DKと2DK住戸では、ホースを踏んづけたり浴室から外れるなどが原因で漏水事故がたびたび発生していました。しかしこの問題も令和4年度に、JSサイホン式排出管と呼ばれる製品が導入され、解決される見込みです。

神代団地にも光コンセントがやって来ました!

 令和元年頃より神代団地の我が家にも光配線方式(FTTH)のインターネット回線がやってきました。自宅のダイニングキッチンには光コンセントが新設されました。100Mbpsを超える速度が出ており非常に快適です。URのサイトを見ると、光配線方式に対応している棟とそうでない棟があります。聞いたところによると、光配線方式の対応物件を広げたい思いはNTT東日本もUR都市機構も同じで、希望さえあればどんどん使えるようにしたいそうです。光配線方式に対応させるためには光スプリッタという装置を階段室に設置する工事が必要になります。今のところ、利用希望者が居るか分からない棟には設置せず、希望者が確認できた棟に設置を進めている模様です。




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