公団ウォーカー

団地の暮らし

 2009年12月、昭和40年築の緑あふれるUR神代団地で待望の団地生活を始めた私。最初は未知の団地暮らしに対して不安もありましたが、今では快適で楽しい団地ライフを満喫しています。このコーナーでは、団地ファンとしてだけではなく、居住者視点で見る「団地」と、そこでの暮らしぶりをご紹介します。


団地と子育て

 私は2人の子どもといっしょに神代団地に暮らしています。子育てする上で団地は想像以上に環境がよく、大満足しております。ここで実際に子育てをしてみて、いろいろ見えてきたとこがありましたので、書いていこうと思います。

子どもが増えてきた最近の団地

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 新聞では、やれ高齢化、やれ老朽化と団地に老人しかいないかのような報道が繰り返されておりますが、実際のところはちょっと違います。神代団地は1965年に入居開始の団地ですので、新築の時から住んでいる人の多くは2020年現在で大体80代後半くらいになっています。ここ神代団地では、ほとんどの棟にエレベーターが無いため、ここ数年で階段を登れなくなってきた年配の方の退去(もしくは1階への転居)が進んでおり、代わりに健脚な若い世代が続々と入居してきているのです。まさに居住者の世代交代真っ只中といった感じ。団地の「第2週目」が始まっていると言えます。昼間に団地を歩いてみるとわかりますが、その辺の街中よりたくさん子どもたちがいます。また、子育て世代と高齢者がミックスした世代構成がこれまた絶妙で、団地の全盛期を見てきた年配の方々が、子どもたちを孫のように見守ってくれるだけではなく、祭りや餅つきなどのイベントを率先してやってくれています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

団地自体が公園だから「公園デビュー」の心配は無用でした

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 私が住んでいる住棟から、公園までは徒歩10秒。団地自体が公園みたいなものなので、公園デビューとか公園ママ友グループみたいなややこしい話は無縁といえます。団地のプレイロットは地域に開かれており、幼児向け遊具が充実しているため、団地外からもたくさんの子連れ家族が集まってきています。うちの子が赤ちゃんだった頃、なんとなく見知って仲良くなった人が同じ幼稚園に入園するなど、交友の輪が自然と広がっていきます。

この広い空間は、団地の特権

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 住宅が立ち並ぶ中にこれだけのオープンスペースがあるのは、おそらく団地だけではないでしょうか。神代団地の広い公園では、ボール遊びや自転車の練習も余裕でできますし、正月には凧揚げをやっている人もいます。何でもかんでも禁止されている市の公園とちがって使い方は自由ですし、住民の共益費でクリーンメイトのおじさんたちがいつも掃除しているのでとても綺麗。晴れの日は子どもたちがいつも走り回っています。子どもの体力低下が問題になり始めて久しいですが、団地の公園で遊ぶ子どもたちは健全・健康そのものに見えます。

団地は友達が集まる場所

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 団地の公園では、学年を超えた団地友達が出来ることもあるようです。車の往来が激しい地域では、子どもを一人で遊びに行かせるのは憚れると思いますが、団地では友達の姿を見つけて一人に遊びに出るということが日常だったりします。また「何号棟の誰ちゃんちに行ってくる」で通じるのも団地友達の良いところです。

子どもの騒音問題、実際のところは。

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 団地は鉄筋コンクリート造であり、思ったよりは防音性能が高く、鉄骨造や木造のアパートとは段違いに良いです。鉄筋コンクリートの特性を理解し、床への打撃を避けたり深夜に洗濯や入浴は避けるなど常識的なことさえ守っていれば、子どもが多少走り回っても耐え難い騒音にはならないはずです。ただ、実際に騒音トラブルはゼロではないようです。無用なトラブルを避けるため次のことに気をつけると良いでしょう。

良好な近所付き合いを心がけましょう

 一つの階段を上下10世帯程度で共有している「階段室型」の団地では、階段室が下町の裏路地のような機能を果たしています。階段室型団地における近所付き合いは、縦の関係、すなわち上下階のつながりが命。走り回る音の騒音は上下階に響きますから、きちんと表札を出し、階段室ですれ違う人とは笑顔で挨拶を心がけると良いでしょう。顔を見知った仲であれば、多少の粗相も多めにみてもらえるのではないでしょうか。

自治会に入っておいて損は無い

 なぜか自治会に対し変な不安を持ってる人がいるようですが、とりあえず自治会には入っておきましょう。団地によって違いますが、自治会費はせいぜい月200円程度で安いものです。自治会費を階段委員の人に渡したり、回覧板を回すといった何気ないつながりが、隣人への無用な警戒心を解く重要なプロセスになっているように思います。せっかく団地に引っ越してきたのに、入居するや否や自治会加入を拒絶し、近所の人に「ちょっと変わった人かも」「怖い人かも」と思われてしまっては、元も子もありません。
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(団地とコミュニティ)



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