電電アパートは都市部以外にも建設されました。取り壊しのペースが早かったため、撮影できた件数は少ないのですが、全国に数えきれないほどの社宅がありました。

　昭和46年1月竣工。1,800坪の敷地に2D型住棟が2棟並んでいます（容積率約60％）。社宅の用途廃止から7年間塩漬けになっていた建物を2018年に都内の民間企業が借り受けることが決まり、フルリノベーションのうえ一般賃貸住宅として利用されています。装いを新たにした旧草加社宅は「ハラッパ団地草加」と名付けられました。1階部分にはカフェや保育園が開設され、住棟間には貸し菜園やドッグランが併設されました。「団地2.0」をコンセプトに、収穫イベントやピザ窯でのピザ作りイベントを行うなど、新しいコミュニティを生み出しています。

　入間市大字上藤沢429番地に所在。昭和53年前後に完成したようです。プレハブ工法の5階建て中層棟と、スキップフロア方式の高層棟で構成されています。高層棟妻面のレリーフが特徴的でした。住戸面積も広く、比較的新しい社宅でしたが、2006年に解体されました。跡地は戸建住宅街になっています。

　テラスハウスと中層フラットとボックス型ポイントハウスで構成されています。テラスハウスは昭和30年代に完成しており、残りは昭和40年代中頃に建設されたようです。数ある社宅の中でもかなりゆったりとした住棟配置でした。東日本大震災後、被災者向け住宅として柏豊四季社宅（柏市）・四街道社宅（四街道市）とともに一時活用されていましたが、後に解体されました。

　昭和30年代後半に建設されたようです。辻堂社宅からさほど離れていない場所にありました。中層フラット8棟とスターハウス3棟で構成されていましたが、私が撮影に行った時はスターハウスのみ取り壊され、駐車場になっていました。

　昭和42年頃に建設されたようです。神大寺は「かんだいじ」と読みます。中層フラット2棟とスターハウス1棟で構成される小規模な社宅です。スターハウスは側面に窓がない特殊なタイプでした。

　神奈川大学の南側にありました。スターハウス1棟と低層棟1棟で総戸数25戸の小規模社宅です。昭和37〜38年くらいに建設されたようです。撮影時、既に閉鎖されていました。

　昭和41年ごろに完成したようです。スターハウスと中層フラット独身寮で構成されています。京成大久保駅の北側、東邦大学習志野キャンパスや日本大学津田沼キャンパスの近くにありました。平成18年に閉鎖され解体済みです。

　昭和43年ごろに完成したようです。側面に窓がないスターハウスと中層フラットと独身寮で構成されている中規模の社宅でした。用途廃止後、辻堂社宅（藤沢市）、四街道社宅（四街道市）とともに東日本大震災被災者向け住宅として一時的に活用されていました。わりと長い間残っていましたが、2020年（令和2年）についに解体されました。

　千里ニュータウン佐竹台地区に立地。昭和39年前後に完成しました。1〜3号棟がスターハウスで4〜8号棟が中層フラットです。2022年（令和4年）時点で既に閉鎖されているものの、建物自体（1〜4号棟）は現存しています。現存する最後のNTTスターハウスかもしれません。

　昭和30年代後半に完成した社宅です。香里団地の近く、枚方市大池配水場の南側にありました。3号棟スターハウスの上に高架水槽が設置されていました。既に解体され、戸建住宅街になりました。

　電電アパートの研究、いかがでしたでしょうか。たくさんご紹介しましたが、これらは全体のごくごく一部に過ぎません。電電アパートは公団住宅と違って資料が少なく、全貌は謎につつまれています。資料その他、お持ちの方がいましたら是非是非ご提供ください。みなさんと電電アパートに関する知見を深めていきたいと思っております。